骨粗鬆症とは
聞いたことはあるけど…
皆さんは骨粗鬆症についてどんなイメージを持っているでしょうか?単なる「骨の老化現象」と考えている方も多いかもしれませんが、実は立派な「病気」です。骨粗鬆症とは、一言で言うと「骨が弱くなって、骨折する危険性が高い状態」のことです。骨折は骨が弱くなって起こる合併症であり、骨粗鬆症は予防と治療が非常に重要です。
特に女性は注意
女性は50歳前後で閉経に伴う女性ホルモンの減少により、急速に骨密度が減少することが知られています。日本の骨粗鬆症患者数はおよそ1590万人(男性410万人、女性1180万人)と推計され、女性は男性の約3倍の割合となっています。女性では60歳代の5人に1人、70歳代では3人に1人、80歳代では2人に1人が骨粗鬆症と言われています。骨粗鬆症の恐ろしい点は、自分自身に何も自覚症状がないことです。それにも関わらず、小さな段差につまずいて手をついたり、滑って尻餅をついて転んだりなどの、わずかな衝撃で骨折してしまいます。骨折後に「あの時検査していれば良かった…」「やっぱり治療していれば良かった…」という声はよく耳にします。
実は私も…?
骨粗鬆症検診受診率は全国平均で約5.5%と非常に低く、埼玉県は全国平均をわずかに下回っています。メタボ検診や胃癌検診や乳癌検診などの検診は受けたことがある方は多いのではないでしょうか。これらの検診受診率は50%前後と言われています。しかし残念なことに、骨粗鬆症検診は受診する人が少ないのが現状です。「カルシウムのサプリを飲んでいるから私は大丈夫。」と自分に言い聞かせてはないでしょうか?
検査・診断
まずは骨密度の測定を
当院は骨粗鬆症のスペシャリストである「日本骨粗鬆症学会認定医」がいます。日本骨粗鬆症学会認定医とは骨粗鬆症の専門知識を有した医師で、日本に1694人しかおらず、最多の東京都では173人、埼玉県はたったの44人のみです(2024年8月時点)。当院における骨密度測定方法は、最も診断精度が高いDEXA法と呼ばれる方法で検査を行います。骨粗鬆症の治療方法は運動療法や食事療法も重要ですが、薬物療法が基本になります。薬物療法は飲み薬や注射があり、薬剤の種類も非常に豊富です。認定医が一人ひとりに合った最適な治療方法を提案させていただきます。
骨折のない人生
「最近身長が低くなってきた」「背中が丸まってきた」などは骨粗鬆症の可能性が高いサインです。65歳以上の女性、70歳以上の男性は一度骨密度の測定をして、ご自身の骨の状態を確認しておきましょう。検査で骨粗鬆症と判明すれば、早期から治療を行うことで骨折のリスクを減らすことが可能です。「あの時検査していて良かった…」「やっぱり治療していて良かった…」という声が増えると良いですね。
骨密度測定器
骨密度測定器について
当院では最新型のFUJIFILM社製のALPHYS LFを導入しています。この装置は従来の前腕での骨密度測定装置と比較して、躯幹骨(腰椎、大腿骨)を測定することでより詳しい骨密度の評価が可能で、DEXA法と呼ばれています。骨粗鬆症診断基準のガイドラインでもDEXA法を用いて計測することが推奨されています。検査台に横になり、腰椎と大腿骨を撮影するだけなので検査時間は3~4分程度と短時間です。また、使用するX線量は通常の胸部レントゲンの1/5~1/10程度と非常に少ない被爆量のため、とても安全性が高い検査と言えます。